- 2018.08.30
- 考えてみよう!有給休暇の有り方!
Q. 年次有給休暇を取得した月も皆勤手当を支払う必要がありますか?
当園は職員に、月額5,000円の皆勤手当を支給しております。先日、職員から「年次有給休暇(以下、年休)を取得したことで皆勤手当が支払われないのはおかしい。」と言われました。年休を取得した場合、実際に勤務しているわけではないので、皆勤手当を支払わなくてもよいと考えていました。
皆勤手当を支払わなければなりません!
皆勤手当は、賃金計算期間の勤務が無遅刻・無欠勤だった職員に支払われる手当です。「精勤手当」などの手当名で支払われていることもあります。
貴園のように、賃金計算期間の間に年休を取得した場合、実際に勤務していないため、皆勤手当を支払わないとすることは一見、問題がないようにみえます。しかし、年休は労働日の免除であって、“欠勤”ではありません。(年休の効果としては、就労義務がなくなり、その日の賃金の請求権を取得することになります。)
また、労働基準法では“年次有給休暇を取得した労働者に対し、賃金の減額その他不利益な取り扱いをしてはならない”と規定しています。なぜなら、年休を取得することによって労働者に対し不利益な取り扱いをすれば、年休取得が抑制されてしまい、年休取得の本来の目的である心身の疲労回復や労働力の維持培養が図れなくなるからです。
裁判例においても、皆勤手当等の諸手当の全部または一部を「年休を取得した休んだことのある日」を理由にして支給しないこととすることは不利益な扱いとして許されないとしているものがあります。
(昭51.3.4 横浜地裁判決「大瀬工業事件」)
以上のことから、年休を取得したことで皆勤手当を支払わないとすることは、不利益な取り扱いとなることから、貴園は皆勤手当を支払う必要があります。
(参照:日本法令)